市民運動の悪癖
大昔からあるステレオタイプなものの見方なのだが、「行政・大企業は悪」「市民運動は善」というのがある。農薬・添加物は悪だという一方で、有機栽培農家を持ち上げたりする。だが、市民運動も割り引いて見た方が良い。原発、合成洗剤、農薬、環境ホルモン、遺伝子組み換え作物……。槍玉に挙げられるものはいろいろだが、一皮向けば似たようなもの。
「その目標を伝えるために、スローガンは有効で、かつ、必要でもある。しかし、一度決めると、その正当性を証明するために、どうしても無理をするようになる。そのスローガンが正しいかどうかを検証するための道具、科学まで否定するようになってしまう」
「反対運動をしている過程で最も難しいのは、相手側(この場合は、旧建設省や都道府県の土木関係)が、改善案を出してくる時である。その改善案が良ければ良いほど、スローガンの意味が希薄になる。
こちら側の意見が一部取り入れられたからいいことだが、自分の主張の意味が希薄になるように感ずる。そして、焦るものだ。場合によっては、自分の主張をより強固にしようと思い始める。以前よりスローガンの意味は希薄になっているのに、それをもっと強く主張するようになることがある。
市民運動にコミットしたとは言え、私は、その運動体の指揮者ではないので、スローガンにそれほど拘束されない立場に立つことができた。しかし、運動体の指導者(活動家)には、スローガンをあいまいにすることは非常に難しいのは理解できる。でも、ここが勝負のような気がする。せっけん運動の流れを見ていて、
最初はすごい運動だった、成果も挙がった、しかし、その後、どんどん反科学、非科学になり、社会を後ろ向きに動かす力になってしまい、消費者の動向からも
離れてしまった」
中西先生といえば、東大の都市工学科時代、下水道政策を厳しく批判して万年助手の辛酸を舐めた人だ。その頃は市民運動の側からは支持されてきたが、その後は敵視されるようになってしまった。元生協職員・渡辺宏さんは「安心!?食べもの情報」で 、「中西さんの説を紹介しただけで白い目で見られた」と書いている。
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